BORO(ボロ)とは?
実は日本発のメンズブランドは海外でかなり高い評価を受けています。アメリカやヨーロッパのメンズブランドのデザイナー達は日本ブランドをこよなく愛していて、よく参考にしています。アジアだと人気のショップはこぞって日本ブランドをセレクトしています。その中で日本ではすでに消えてしまったはずのファッションが突然海外で人気を集めているという事例が存在します。
それこそは襤褸(ボロ)を使用したスタイルです。
ボロ布は海外ではそのままBOROと呼ばれて人気が出てきているものなのですが、そもそもは東北の青森等の寒村地帯でよく見られる工夫でした。150年以上前、木綿布は庶民にとって貴重な時代で、衣服を頻繁に取り換えることはできません。そのため江戸や京阪などの都市部で使い古された端切れを手に入れ、普段来ている衣服が破れてしまったりすると、それらを継ぎ当てて刺し子で補修をしました。
ボロで継ぎ接ぎされた着物は普段着として使えなくなると下着へ、下着として使えなくなると敷物や雑巾へ、最後にはまた端切れに姿を変えていきました。
その後日本は経済成長を遂げ、衣服も誰もが自由に買えるようになっていきます。当然ながらこのボロの文化もなくなっていくはずでした。
それが21世紀にはいると、国内国外でBOROがアートとして認められるようになります。パッチワークを行って作られる服は、きれいな服が当たり前に流通する時代においては革新的なもので、日本のヴィンテージのテキスタイルとして認識されました。こうした流れは現代に残った貴重なボロ生地を使って服を作る新進気鋭なブランドを生み出しました。
BORO(ボロ)の海外での反応
そもそもBOROは海外でどのように受け止められているのでしょうか?
アメリカにはHeddelsという人気ファッションブログがあり、人気のブランドからマイナーなブランドまで幅広い話題を取り上げており、英語圏では絶大な指示を得ています。そんなHeddelsがひときわ力を入れて紹介しているのがBOROです。そんなBOROの記事はファッショニスタによく読まれています。
実際にBOROを使った服を取り扱っているショップも多く存在しています。オンラインショップで世界的に有名なイギリスのMR PORTERや各国や地域を代表するセレクトショップなどが取り扱っています。
BORO(ボロ)を使ったおすすめメンズブランド
KUON(クオン)
BORO(ボロ)を取り扱っているメンズブランドとして海外で最も知名度があるといえるのはKUON(クオン)でしょう。
パリコレブランドのkolor.出身の石橋真一郎氏がデザイナーをつとめるKUON(クオン)はBORO(ボロ)を定番にし、古いものを現代的にアップデートするもの作りによって、国内外から注目を集めています。KUON(クオン)の取り組みは世界からも認められており、2018年のA/W東京コレクションにも出ました。
FDMTL(ファンダメンタル)
FDMTL(ファンダメンタル)は2005年に立ち上がった比較的新しいメンズブランドです。とはいえ活動に関しては精力的で、多くのブランドとコラボしていることでも知られています。XLARGEやJAM HOME MADEなどと共同で手掛けた商品は人気を集めており、これからの活躍に期待が集まるブランドです。そんなFDMTL(ファンダメンタル)でもBORO(ボロ)を多く手掛けています。
その中からジーンズとBORO(ボロ)を国合わせてORIGIN DENIM CS40を紹介します。インディゴ染めした生地を中心にそれぞれ加工し、パッチワーク状に貼りつけてます。シルエットは股上に若干のゆとりを持たせたクラシックストレートです。本物のBORO(ボロ)ではないですが、BORO(ボロ)の雰囲気は楽しめます。
KAPITAL(キャピタル)
最後に紹介するのはKAPITAL(キャピタル)です。
ジーンズの製造で有名な岡山の児島から生まれたブランドですが、BORO(ボロ)の商品も発売しています。職人的なハンドメイドで作られた商品の品質は非常に高く、独特なデザインも人気です。
様々なBORO(ボロ)の中から紹介したいのはKAYA×NORA BOROショートパンツです。非常に多彩なBORO(ボロ)が幾重にも組み合わされており、もはやアートの域にまで昇華されているといっていいでしょう。貴重な生地を踏んだんに使った一本です。
画像:kapital-webshop.jp
まとめ
BORO(ボロ)はもともと貧しい暮らしの中で編み出された知恵でした。一方で暮らしが豊かになった現代にあっては物を大切に使うという精神のもとで改めて注目を集めています。
本来なくなるはずのものだったものが改めて復活するというのは実に興味深い話です。今回は3つのブランドを紹介しましたが、そのほかにもこのBORO(ボロ)を使ったブランドは出てきています。日本人の物を大切にする精神が時代を越え、世界中のファッショニスタを魅了しています。