国産ジーンズの歴史
今や当たり前のように老若男女問わず人気のジーンズですが、日本ではどのような歴史をたどってきたのでしょうか。
国産ジーンズ第一号については諸説あり、数ブランドがそれぞれ自身のジーンズ日本初を掲げています。
各社、多少の見解の相違は見られるもののその時期は1960年代であり、アメリカの古着の模倣から始まっています。
その中でも高畑縫製、大石貿易、マルオ被服という3社が日本ジーンズの始まりの歴史からは切り離すことはできません。
まずはこの3社から説明しましょう。
高畑縫製とは?ジーパンセンターサカイの独立元
メーカーである高畑縫製は、1960年代に12ozの藍染めデニムであるEIGHT-G(エイトジー)を作成しました。
EIGHT-G(エイトジー)の名称は縦糸と横糸に8番手の綿糸を使った8000番のデニム生地を使用したからだといわれています。
1962年に高畑縫製がCORNPOPPER(コーン・ポッパー)というブランドも発表。
現在では東京千葉で名の知れたジーンズショップの「ジーパンセンターサカイ」の創業者の酒井和隆氏は高畑縫製から独立しました。
EIGHT-G(エイトジー)の商標登録は抹消されていたので、酒井氏はジーパンセンターサカイのオリジナルとしてEIGHT-G(エイトジー)を1993年に改めてリリースさせました。
Levi’s(リーバイス)ジーンズの輸入元であった大石貿易とは?
さて商社である大石貿易とはどのような会社だったのでしょうか。
1951年に大石哲夫氏により創業された会社で、日本でのジーンズブームの先駆者として1961年にLevi’s(リーバイス)ジーンズの輸入販売をスタートさせました。
1963年にアメリカのキャントンミルズ社の輸入デニム生地を用いて日本国内で縫製を手掛けたCANTON(キャントン)のジーンズを製造させて販売をスタートさせます。
1965年にはソルティドッグブランドがデビュー、1968年にはビッグストーンブランドを発表するものの、国内ニーズの多様化や様々な新参のジーンズブランドの誕生の中で2003年に倒産しています。
その後大石氏は、ざらざらとした独特の生地質を持ち、熟練の職人でないと作れない鬼デニムの会社BSユナイテッドを作ったともいわれています。
BIGJOHN(ビッグジョン)の前身であるマルオ被服とは?
マルオ被服とは、今でも有名なBIGJOHN(ビッグジョン)の前身にあたる会社です。
まだ、戦前の1940年に児島にて尾崎小太郎が縫製業を始め、学生服やユニホーム・作業服などの制作を行っていました。
当時管理貿易化であり国内にデニム生地がほとんど無く、苦労の末、大石貿易を通してキャントン・テキスタイルミルズ社のデニムを仕入れます。
また当時は厚いデニム生地を縫うミシンがなく、既存のミシンを改造して陵山ミシンを完成させ、これを使って縫製しました。
1965年にマルオ被服製CANTON(キャントン)ブランドジーンズをリリースしますが、大石貿易のCANTON(キャントン)を縫製するのと並行して独自のブランド開発も行っていました。
それが1967年ブランドをリリースしたBIGJOHN(ビッグジョン)です。
国産ジーンズの始まりはマルオ被服説またはEIGHT-G(エイトジー)説
マルオ被服説は1965年2月にキャントン・テキスタイルミルズ社から50反のデニム生地がマルオ被服の本拠地であった岡山県倉敷市の児島に届けられ、その4月に児島でCANTON(キャントン)ブランドの国産第一号ナショナルジーンズが誕生しました。
EIGHT-G(エイトジー)説は国産ジーンズの始まりは1960年に高畑縫製が作ったEIGHT-G(エイトジー)が初の国産ジーンズの説があります。
EIGHT-G(エイトジー)の方が早く見えますが明確な証拠がなく、岡山市にある中国短期大学の宇野保子教授の論文”ジーンズ・カジュアルファッショ”ではマルオ被服が国産ジーンズの始まりと明記されています。
そこには当時の様子を聞いて苦労話も細かく記載されています。
それによると、1964年不況の中で米軍が持ち込んだジーパン(ジーンズ)が若者に大人気であり、まだ国内メーカーがないことから試行錯誤ました。
当時は”Made in Japan”より”Made in USA”の方が価値が高かった為、”Material made in USA”と記載し、その”Material”の記載を小さくしたエピソードもあります。
以上のことからマルオ被服は国産第一号という説が有力です。
宇野保子:”ジーンズ・カジュアルファッション”, (2007)
まとめ
画像:denimba.com
国産ジーパン第一号は、BIGJOHN(ビッグジョン)の前身であるマルオ被服が1965年に作った、CANTON(キャントン)というブランドが最有力です。
高畑縫製のEIGHT-G(エイトジー)説もありますが、資料がなく明確ではありません。
各社、多少の見解の相違は見られるもののその時期は1960年代であり、アメリカの古着の模倣から始まっていることは共通しています。
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