インディゴ染めデニムとは一味違う!藍染ジーンズとは?
1880年にドイツの化学者A.ボン.バイヤーによって石炭由来の合成インディゴは開発されました。インディゴ染料はヘビや虫よけの効用がある為、アメリカのゴールドラッシュ時代にガラガラヘビよけ目的で当時の作業着の染料に使われてました。その作業着こそがジーンズで、時間が経つにつれてインディゴブルーのジーンズはカウボーイに浸透しファッションとして受け入れられていきます。
画像:buaisou-i.com
その後、約150年のジーンズの歴史の中でカラーバリエーションが増え、黒や白のジーンズも人気ですが、現在もインディゴブルーのデニムの人気は不動です。そんな中このインディゴブルーとはまた違った青を特徴にするジーンズが日本で作られています。それこそが日本の誇る藍染ジーンズです。
藍染の歴史は古く、日本には奈良時代にインドシナ半島原産の蓼藍が中国から伝わり、その時代から藍染の技術を使って衣服を染めていました。作業工程としては布を藍の液”すくも”に浸してその後空気に晒し、酸化させます。その工程を何回か繰り返すごとに藍の色味が増し、深い藍に染まります。一見簡単そうに見えますが藍の液の管理が大変で、pH(アルカリ度)10以下になると雑菌が繁殖して腐敗しやすく、pH12以上になると菌の活動が停止し、染めるのにかなりの時間が必要になります。しかもアルカリ不足になると濃色には染まりません。
藍染ジーンズはその伝統の技術をデニムに適用したもので、約60年前の1960年に高畑縫製が国内第一号の藍染めジーンズを”エイトジー(EIGHT-G)”のブランド名で売り出しました。このジーンズは初の国産ジーンズでもあります。そこから時が経ち今では世界でも”Aizome”や”Natural Indigo”と言われ人気を獲得しています。その魅力は天然染料なのでその時にしか出せないオンリーワン感、希少性、一目でわかる藍染めならではの深い発色です。今回はそんな日本特有の藍染ジーンズのおすすめを3メンズデニムブランドを紹介していきます。
- pure blue japan(ピュアブルージャパン)
- SAMURAIJEANS(サムライジーンズ)
- STUDIO D’ARTISAN(スタジオダルチザン)
pure blue japan(ピュアブルージャパン)
[AI-003] 17.5oz. Natural Indigo Slim Tapered
始めに紹介するのはpure blue japan(ピュアブルージャパン)が手掛ける”[AI-003] 17.5oz. Natural Indigo Slim Tapered”です。
画像:instagram.com
hi.denim
pure blue japan(ピュアブルージャパン)は1997年に岡山県倉敷市児島で設立した正藍屋(しょうあいや)のブランドです。天然の藍やインディゴの美しい青と国産に強いこだわりを持つジーンズメーカーで、展開するすべての商品は純日本産です。先染めにはロープ染色を採用し、オリジナルの生地で質感にも独特の風合いを出す点が魅力です。今回紹介するナチュラルインディゴもしっかりと染め抜かれた青が印象的な藍染ジーンズとなっています。ナチュラルインディゴとは藍染のことで、阿波正藍という徳島の伝統工芸で染められています。一目見ただけで目に焼き付いてくる青は染め物の着物を思わせるくらいです。
しかも注目したいのがこの”[AI-003] 17.5oz. Natural Indigo Slim Tapered”はワンウォッシュを経ているというところです。
藍染は色移りが激しいので、ワンウォッシュをする必要があり、お湯に浸けたり、乾燥にかけたり、少し面倒なことがありますが、この藍染ジーンズにおいては全ての工程が済んでいて、藍の出す青もキレイに保たれています。
画像:pbj-jeans.ru.shopserve.jp
テーパードスリムでできているため、足のシルエットも綺麗です。
pure blue japan(ピュアブルージャパン)を詳しく知りたい方はこちらの記事もおすすめ!
SAMURAIJEANS(サムライジーンズ)
スリムストレートジーンズ 18oz藍染めデニム
続いて紹介するのはブランド名から日本に誇りを抱いていることをうかがわせるサムライジーンズです。
1998年に大阪で誕生した有限会社サムライのブランドで、「ジーンズは作り手、穿き手のこだわりが一致しないと商品価値が無い」をコンセプトに、職人系のジーンズを展開してます。特にヘビーオンスのジーンズは国内外で非常に高い評価を得ています。その中から”スリムストレートジーンズ 18oz藍染めデニム”という藍染ジーンズを紹介しますが、こちらもこだわり抜いて作られています。
この”スリムストレートジーンズ 18oz藍染めデニム”でもっとも特筆したいのは染め抜きの回数です。通常ジーンズは一回染料を着色しただけでは色が定着しません。そのため糸を染め切ってからも何度も空気に晒し酸化させなくてはいけないのです。そうすることによってようやく色が生地に定着するのですが、SAMURAIJEANS(サムライジーンズ)はこの染める回数が群を抜いています。なんと20回以上も染めるための作業を行っているのです。これだけのこだわりを持って作られた藍染ジーンズは、もはや職人技です。
もっとも、”スリムストレートジーンズ 18oz藍染めデニム”のポイントはそれだけではありません。縫い糸に金と赤を使うことによってうまく藍の青を引き立たせることに成功しています。さらにSAMURAIJEANS(サムライジーンズ)らしいヘビーオンスのジーンズなので、男臭く履きたい方におすすめです。
STUDIO D’ARTISAN(スタジオダルチザン)
15オンス阿波正藍ジーンズ
上記の通り、藍染は古くから日本の伝統的な技法として伝わってきました。その中でも藍染の技法を洗練させた場所に徳島県が挙げられます。
徳島から生まれた着物は数多くあるのですが、この藍染の技法をジーンズに活かそうとしているのがSTUDIO D’ARTISAN(スタジオダルチザン)です。
画像:dartisan.co.jp
”15オンス阿波正藍ジーンズ”はSTUDIO D’ARTISAN(スタジオダルチザン)が自信を持って送り出しているジーンズなのですが、レア物としてマニアには知られています。
なんとこの”15オンス阿波正藍ジーンズ”は100着程度しか出回っていません。
それもそのはずで、この”15オンス阿波正藍ジーンズ”は職人が全て手作業で作っているものなのです。多くのジーンズメーカーは工場生産によって大量に作ってますが、そんな中にあってこうした試みを行っているブランドは稀と言えるでしょう。光沢のある藍色が美しいジーンズではありますが、あえて色落ちさせても味が出るジーンズとなっています。
画像:dartisan.co.jp
洗濯やケアの仕方
職人技でできている藍染ジーンズではありますが、こうなると普通のジーンズと同様のケアをしていいか気になるところです。ケアは通常のジーンズとあまり変わらず、なるべく洗濯はしないのが無難です。それでも洗濯したくなった際は洗剤を使わず水洗いしましょう。また、ポイントとして洗濯機で脱水はしないでください。脱水によって空気を含んでせっかくの藍色が台無しになってしまいます。干す際も天日干しにはせず、日陰干しをしましょう。
まとめ
日本の藍染とアメリカのジーンズが合わさるとこんなにも美しいファッションができる、という例を見てきました。最近では藍染ジーンズの体験会を催しているブランドもあります。気になる方は購入するだけでなく、工房にも足を運んでみてはいかがでしょうか。
【ジーンズの豆知識】
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